7/30/2007

ヴァロリス

コートダジュールでぜひとも来たかったのは、陶芸の盛んな街ヴァロリス。ここにはピカソの「戦争と平和」の壁画がある。道の両側には陶芸品のお店がずらーと並んでいるし、メインストリートの街路樹も大きな陶器に植えられている。ここでピカソも陶芸を始めたとのこと。そのピカソが彼の70歳の誕生日の記念に礼拝堂の壁画に絵を描いたという。どうやらものすごいものらしい!が、見られるはずのChateau Museが見つからない。土地の人、数人に聞いてまわるが、たいして関心がないみたいで、みんな言うことが違う(あっ!それって私のフランス語力のせい?)。結局ポリスに聞いてやっと探し当てる。偶然にも車を止めた広場のすぐ近くだったが、あまりにも目立たず、観光客も見当たらず、治安も悪そうな所にあった。ひっそりとした狭い礼拝堂(というよりはエスキモーのドームのような小部屋)に入ったとたん、衝撃で息を呑む。中央正面には平和のシンボルの白い鳩を掲げる肌の色が違う四人の姿。その右壁面はユートピアで、子供が遊んでいたり、家族がなごんでいるが、反対の左壁面に目を移すと、彼の有名な「ゲルニカ」を思い起こさせるような、骸骨を持った悪魔や黒い影の兵士や本を踏みつけている馬などの戦いの場面になっている。ピカソの怒りや悲しみや平和への願いが強く伝わってきて、シーンと静まりかえった部屋にしばらくたたずむ。
こんなに素晴らしい壁画なのに、訪れる人がほとんどいなくて、ゆっくりとベンチにすわりながら鑑賞できるなんて信じられない!日本だったら、人、人、人の背中の間からのぞく感じだろうなぁ。さりげなく日常に名画にふれることができるヨーロッパのすごさに感服してしまった。

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