東日本大震災から3年の月日が過ぎました。いまだに避難を余儀なくされている方達や肉親を失った悲しみや、心の苦しみをかかえている方々が多くいらっしゃると思うと胸が痛みます。
昨日は「東日本大震災で命を落とされた方々への鎮魂と被災された方々の復興への祈りをこめて」一日限りの能と文楽の特別共演があったので観にいってきました。新作でキリスト教をテーマにした非常にめずらしいものです(@観世会館)。
文楽はキリストの生涯を扱ったもの。手摺の内側で高下駄をはいて演ずる舞台とは違って、能舞台での人形浄瑠璃、いつもとは勝手が違うと思います。イエス様もマリア様も日本の人形でしたが、あまり違和感はありませんでした。頭を扱う主遣いは通常素顔を見せてくれるのですが、今回は最後まで黒衣姿で、桐竹勘十郎さん(イエス役)のお顔が見られなかったのが残念でした。
キリスト教が伝来した当時には、”キリシタン能” というものが存在したということを初めて知りました。題材はキリスト教弾圧者のパウロが、復活したイエスに救われ、回心するという話で、能としてはわかりやすく堪能しました。観世清河寿(家元)さんがパウロとイエスの二役、野村萬斎さんが間狂言となんとも贅沢な舞台でした。
「聖書や、シェイクスピアや日本の古典芸能に共通なものは、普遍的なヒューマニティーで、いつの時代にも、どんな世界でも、誰にでも理解できる心情だから消えていかない」というお話をして下さった、新作能の作者、林望氏のお話も納得できました。
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