大阪松竹座へ歌舞伎NEXT「阿弖流為」(アテルイ)を観に行きました
13年前に劇団☆新感線で上演されたものを、歌舞伎の舞台で再演するという画期的な試みということで、すごく楽しみにしていました。
国家統一を目指す帝の軍が、北の地にすむ蝦夷を滅ぼすため戦いをいどむという、戦う場面が多い壮大なスペクタル。帝軍の征夷大将軍、若き坂上田村麻呂を中村勘九郎。故郷で神の怒りを買い追放されていたが、攻められる蝦夷を守るために頭領となって戦うアテルイを市川染五郎。そして盗賊立烏帽子党の頭と、可憐な蝦夷の女、鈴鹿の二役をこなすのが中村七之助。今の歌舞伎界を引っ張る若者たちの躍動感みなぎる舞台です。
衣装も言葉も現代的、演奏も本来の笛や三味線に加えてドラムやギターが入り、照明をすごく効果的に使い、幻覚や呪詛の場面や殺陣のど迫力を強く印象づけています。
歌舞伎独特の見得も型もふんだんにあり、また緊張をふっと解く笑いの場面もあり、勘三郎さんのサービス精神を思い起こさせる舞台でした。彼が生きていたら、息子たちの成長をどんなにか喜んだことでしょう。
特に七之助のうまさには目を見張るものがありました。新感線の舞台では二人の女性が演じた役を、七之助が一人二役でのぞみ、その女性姿はあまりにも美しく、また最後に正体を現わして神に豹変した時の異形にもぞくぞくしました。
染ちゃんはラスベガスでの熱演(「鯉つかみ」)といい、今回のアテルイといい、少し前までは線が細くて心配だったのですが、最近はチャレンジ精神旺盛で頼もしい限りです。
勘九郎は早すぎる父親の死を乗り越えて、どんどん上手に、スケールが大きくなってきています。(なんてエラそうに・・・)お互いに敵同士ながら、理解しあうという難しい情感を演じたこの三人。息もピッタリで楽しそう。これから歌舞伎界をどんな風に変えていくのか楽しみです。
他にも帝の巫女の御霊御前役の市村萬次郎さん、生きるために裏切りを繰り返す蝦夷の男、蛮甲役の片岡亀蔵さん、いい人かと思ったら冷酷だった伯父役の坂東彌十郎さんなど、個性的なキャラクターがぶつかり合って見ごたえのある4時間でした。
監督(いのうえひでのり)や脚本(中島かずき)が変わると、歌舞伎もこんなにも変わるものかと、以前観た「NINAGAWA十二夜」以来の衝撃でした。
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