黒澤明監督の「夢」という映画は、”こんな夢を見た”というタイトルで始まる八話のオムニバスで、1990年に彼が80歳で撮っためずらしい短編ファンタジー、スピルバーグ監督が製作指揮をした日米合作作品として注目を浴びた。当時見たときは、大画面で見る風景は美しかったものの、内容はちょっとという感じで印象には残らなかった。ところが先日、日経新聞に黒澤監督の映画作りのこだわりに関しての話が出ていて、それによると、「夢」の第五話は、主人公がゴッホの絵の中に入って行き、ゴッホ本人と会うという夢。その中に使われる絵の一つに”鴉の群れ飛ぶ麦畑”というのがあるが、そのシーンを撮るために、北海道の女満別に気に入った場所を見つけると、わざわざ大麦の種を植えさせ、成長、色合い具合がちょうどいい時に、集めた鴉を飛ばし撮影したという。鴉は地元のごみ処理場などをまわって250羽集め、飼育小屋を建て、共食いしないように20羽ずつ分けて飼ったとのこと。そして実際に撮る時には、同じ方向に飛ぶように工夫し、地元の主婦や学生さんが二人一組になり合図とともにいっせいに7羽ずつ入った箱のふたを開いて飛ばしたと書いてあった。さすが世界のクロサワ、やることが徹底しているし、人もお金も使い放題?
これはぜひもう一度見てみないとと思い、さっそくDVDを借りてきた。凡人の私はこれはてっきりCGかと思っていました。
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