4/23/2011

ゆずり葉

大阪の葛井寺(ふじいでら)に国宝の十一面千手観音坐像を拝観に行くついでに立ち寄った、辛国(からくに)神社。ここで目を引かれたのが、大きな木”ゆずり葉”です。


        新芽がでていて、赤い花が咲いていました


家に帰って調べたら、”ゆずり葉”というのは、春に若葉が出ると前年の大きなりっぱな葉が、譲るようにして落ちるので、親が子を育て、やがて役目を終えていく様子、家が代々続くよう願う、ことから名前がついたそうです。

東日本大震災で親を亡くした子供達がたくさんいます。そしてその親達は、どんなにか無念の思いだったことでしょう。生き残った子供達はこれからずっと、トラウマに苦しめられることでしょう。原発の脅威はこれから何年も続くかもしれません。今の大人達が子供、孫達に残せるのは、不安ばかりのような気がします。それでもやっぱり、勇気を持って生きていってほしいと切に祈ります。
素敵な詩に出会いました。少し長い詩ですが、引用いたします。



『ゆずり葉』   河井酔茗(かわいすいめい)


子供たちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入れ代わってふるい葉が落ちてしまうのです。

こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずって。

子供たちよ、
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです。
太陽のまわるかぎり
ゆずられるものは絶えません。

かがやける大都会も
そっくりおまえたちがゆずり受けるのです、
読みきれないほどの書物も

みんなおまえたちの手に受け取るのです
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど-。

世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずっていくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを、
一生懸命に造っています。

今、お前たちは気がつかないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に
気が付いてきます。

そしたら子供たちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見る時がくるでしょう。

2 件のコメント:

urban さんのコメント...

ゆずり葉、初めて知りました。
掲載していただいた詩も、とても良いですね。
今度、神社やお寺に行った時に探してみます。

はりねずみ さんのコメント...

こんな時期に偶然ゆずり葉をみて、ちょっと感動してしまいました。子供達が安心して暮らせる社会になってほしいです。