大阪松竹座で夜の部、GOEMONを観てきました
ラブりん(片岡愛之助)が座頭の花形歌舞伎です
舞台装置は緞帳もなく、この金属パイプと階段だけのシンプルなもの
これが真っ赤な十字架になったり、聚楽第になったり、スペインの酒場になったり、最後には装置が回転してせりあがり、五右衛門が ”絶景かな、絶景かな” と叫ぶ南禅寺の山門にもなります。ストーリーは奇想天外で、スペイン人宣教師を父にもつ石川五右衛門が親の仇を討つため大泥棒になり、秀吉に立ち向かう話です。出雲の阿国の一座には、OSKの女性ダンサー達が加わり、フラメンコは一流のダンサー(佐藤浩希)とギタリストと歌手(外国人)が参加し、歌舞伎というよりは、舞台演劇ファンタジーという感じでした。弦楽四重奏の生が入り、三味線と謡、ギターと歌のコラボも新しい試みでした。
五右衛門がつづらを背負っての宙づり、そして2階席での立ち回り、最後にまた鳥に乗って逃亡する宙づりなど、本当に観客を楽しませてくれました。歌舞伎の創始者と言われる出雲の阿国に、五右衛門がフラメンコを教える場面は、笑えました。さすが、歌舞伎役者さん、基礎ができているので、音感も身体の動きもバッチリでした。
今回の花形歌舞伎、若き御曹司さん達(とくに藤十郎さんの孫の壱太郎君)のめざましい成長に目を見張ると共に、愛之助さんをはじめとして、梅丸さん、吉太朗くんのような血筋系ではない人達の活躍の場を作る上方歌舞伎の懐の深さにも驚きました。
猿之助さんや勘三郎さんも斬新な試みをいろいろやっていましたが、今回はもっとその先をいくものでした。伝統歌舞伎の継承からみると眉をひそめる人もいるでしょうが、若い人達にも劇場に来てもらうというのも大事だと思います。かぶくというのはそういう意味もあるのではないかしらん。