京都に来たからには、京の師走の年中行事、南座の吉例顔見世興行を見ないわけにはいきません。11月25日には南座正面に60枚のまねきが堂々と掲げられ、いやがおうにも気分が高まります。南座は約400年の歴史(1615年)をもち、これはミラノのスカラ座(1778年開場)やパリのオペラ座(1875年)よりも古いそうです。江戸時代に幕府が、興行を認める政府公認の証として許した”櫓”もちゃんと残っていて、屋根の上に家紋入りの幕を張った櫓と梵天が二本立っています。当時の芝居の世界は11月から翌年の10月までが契約期間で、11月の顔見せというのは、その一年間に出る顔ぶれを見せるという意味だったようです。夜の部の”大石最後の一日”の内蔵助を演じる吉右衛門さんは、人間味があふれ、重みのある演技で感動的でした。玉三郎さんの”信濃路紅葉鬼揃”は前半は能仕立てに、後半は歌舞伎風になっていて、その変化が面白かったです。最後の”源氏物語”は今年の千年紀を締めくくる演目で、光源氏はもちろん海老蔵さん、きれいです。六条の御息所を玉三郎さんがおどろおどろしく演じていて、ぴったりでした。さすが京都、観客の中には舞妓さんの姿もあり、慣れた着物姿の人も多く見られました。
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